【Ltspaice】基本的な操作方法でCRローパスフィルタのシミュレーション
Ltspaiceとは
LTspiceは、高性能なSpiceシミュレーション・ソフトウェアで、回路図入力、波形ビューワに改善を加え、スイッチング・レギュレータのシミュレーションを容易にするためのモデルを搭載しています。
回路シミュレータを利用するメリットをたくさんあり、例を挙げると、電子回路設計を担当するエンジニアであれば、ブレッドボードでの試作を回路シミュレーションに置き換えることで、工数を削減することが可能ですし、PCさえあればすぐに導入できるので、工学系の学生やメーカーの新入社員の教育用としても優れています。
大きなメリットは、「無料」です。商用利用する場合は別になるようですが、これだけの機能が無料というのは大きいですね。
Ltspaiceダウンロード先
Ltspaiceは、Analog Devicesのソフトになります。ダインロードは下記のリンク先よりダウンロード可能です。WindowsとMacに対応しているようです。
ダウンロード先 ー> ここをクリック
CRローパスフィルタのシミュレーションを実行する
私の作成する遊びでの電子回路では、スイッチ処理のチャタリング防止処理として、ローパスフィルタを活用しています。実際に、シミュレータ上で、どの抵抗を接続するかを検証する際に利用します。計算でも算出できますが、簡単にグラフまで作成するので重宝します。では、ローパスフィルタ回路をLtspiceで実施する際の方法を記載していきます。
手順1 新規作成
Ltspiceを立ち上げ、メニュー一覧にある「NewSchematic」を選択します。
手順2 シミュレーターの準備完了
下図の灰色の画面が立ち上がります。Ltspiceは、回路作成とシミュレーターの準備ができました。
手順3 抵抗とコンデンサの配置
下図のように抵抗のアイコンとコンデンサのアイコンがあるため、選択して配置します。配置後に回転したい場合は、ドラックアイコンをクリックし、図記号をクリックすると「Ctrl」+「R」で回転や移動が可能になる。
手順4 抵抗とコンデンサに値を入力する
まず、キャパシタと抵抗を入力してみる。以下の画像のツールバーからキャパシタと抵抗を選択し、部品を配置する。配置した後は、キーボードのEscapeキーで部品配置から抜けることができる。
手順5 電源とGNDの配置
グランドは、アイコンをクリックすると図記号が表示されるので、そのまま配置します。電源は、下図のように多くの素子の中から「Voltage」を選択して配置します。最後に図記号同士を接続すれば完了です。配線の方法は、2枚目の図記号に記載した赤枠通しを接続するだけです。
手順6 電源の設定
電源の記号上で右クリックすると②の画面が表示されます。今回の設定と項目の説明は下記の通りです。
Vinitial :0〔V〕
Von :3〔V〕 ※ボタン電池を想定
Tdelay :1m〔秒〕
Trise :1u〔秒〕 ※uはマイクロ
Tfall :1u〔秒〕※uはマイクロ
Ton :1〔秒〕
Tperiod :2〔秒〕※周期
Vinitial:電圧の初期値。
Von:PULSE信号のHIGHのときの電圧値。
Tdelay:Simulation開始から電圧がVonになるまでの時間。
Trise:電圧が立ち上がるまでの時間。
Tfall:電圧が立ち下がるまでの時間。
Ton:電圧がVonになったときに保持する時間。
Tperiod:PULSE信号の周期。
Ncycles:PULSEを繰り返すときの回数。ここを指定しなければ、ON/OFFをSimulation終了まで繰り返す。
手順7 回路の完成
下図のような回路図が完成しています。
シミュレーターの実行
今回は、ローパスフィルタなので、100ミリ秒まで測定できれば問題ありません。もっというと10ミリ秒でも良いですね。したがって、「StopTime」の設定は、100mと設定してOKをクリックします。注意点としては、アイコンは初回起動時のみなので、メニュー一覧の「Simulate」をクリックして「Edit Simulation Cmd」で覚えたほうが良いかもしれません。
シミュレーション結果
シミュレーションを実行した直後は、グラフ作成されない状態です。作成した回路の配線部分にマウスカーソルを移動させます。下図は、色分けしていますが、「ここ」という部分にマウスカーソルを近づけるとプローブのようなアイコンへ変化するのでクリックすると下図のようなグラフが自動生成されます。
まとめ
RC回路を使った簡易的なローパスフィルタの測定でした。今回は、0.1〔μF〕と10〔kΩ〕の組み合わせで実施しましたが、2.3Vまで電圧が到達する時間が、およそ2〔mS〕程度だったので、もう少し大きな抵抗が必要ですね。実際は、47〔kΩ〕で設計します。